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急性中耳炎 症例311 その2

四国徳島からです。

「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

急性中耳炎・急性副鼻腔炎は、繰り上げ100%ウイルス感染症ですよ。
例外的に抗菌薬を必要とする細菌感染症を見逃さないように注意しております。

9月17日に書き込みした患者さん。
初診から1週間後、
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鼓室内貯留液の排液が進んでおりました。

10月上旬、
発熱・咳が出て、鼻汁の増悪を来したため近所の医療機関へ受診。
メイアクト:抗菌薬
アスベリン:咳止め
ムコダイン:痰切り
ペリアクチン:抗ヒスタミン剤
エンテロノンR:乳酸菌製剤
「白血球数とその分類」検査無しでの抗菌薬投薬。
抗菌薬投与は慎重でありたいものです。
その翌日の当院受診、
急性中耳炎 症例311 その2_a0082724_22352060.jpg

中耳炎は、風邪症状と連動することが多いのです。
鼓室内貯留液は増加に転じ、軽度鼓膜膨隆に悪化していました。

抗菌薬不使用に戻してもらって、
10月下旬、
急性中耳炎 症例311 その2_a0082724_223624.jpg

再び鼓室内貯留液の排液が進んで来ました。

そして本日、
急性中耳炎 症例311 その2_a0082724_22362070.jpg

排液は一部を残すのみです。
抗菌薬は必要ないんです。
自分の力で治しているんです。

現在、3歳未満です。
今後も、改善増悪を繰り返しながら治癒に向かっていくのです。

治す診療は無駄と思います。
治るのを待つ、待機作戦が必要です。

本日も、
シングレア:ロイコトリエン受容体拮抗剤、
2週間分処方しました。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日朝食開始90分後血糖値:95mg/dl。

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初診での確定診断を要求されるのは酷と思います。
しかし、反省点は数々あると思います。
①多数の患者さんに日常的に接している方である点。
②安易に「マイコプラズマ肺炎」と診断している点。
マイコプラズマ肺炎とウイルス性肺炎の鑑別をした気配がない。
マイコプラズマ肺炎というと、抗菌薬療法になってしまいますよ。

マイコプラズマ肺炎の診断と抗菌薬投与が最終診断を遅らせた気がしてならないのです。

日常診療では、耳鼻咽喉科医である私も、結核はほとんど考え無しで過ごしています。
考え直す好機になった「医療ルネサンス」でした。

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by hanahanak2 | 2013-11-02 23:15 | 急性中耳炎 | Comments(0)