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急性中耳炎 症例285

四国徳島からです。

抗菌薬(抗生物質)適正使用が叫ばれて久しいと思います。
その使用基準として
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、かつ白血球1.3万以上を提案しています。


6歳の患者さん。
「右耳痛・前夜の38.1度の発熱」にて受診されました。
視診、
急性中耳炎 症例285_a0082724_1641544.jpg

右鼓膜は風船状に膨隆。
右中鼻道には大量膿性鼻汁。

「白血球数とその分類」検査、
末梢血液白血球数  13,100/μl H
白血球3分類    リンパ球   2,200/μl
         単核球     900/μl
         顆粒球    10,000/μl
 

顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、でした。
急性中耳炎・急性副鼻腔炎での細菌感染症はほとんどあり得ないと思いますので、
「明日、食欲等の全身状態の改善がなければ、白血球検査を再度しましょう」ということにしました。

RSウイルス迅速検査は陰性でした。

鼻汁細菌培養同定検査は後日判明しました。
急性中耳炎 症例285_a0082724_16421069.jpg

ウイルス感染症の現場には、肺炎球菌・インフルエンザ菌が出現してまいります。

以上の診察により、「抗菌薬不使用診療・治癒までの待機作戦」を開始しました。

1週間後、
急性中耳炎 症例285_a0082724_16423118.jpg

右鼓膜には水面が認められるまでに改善してきました。
左中鼻道膿性鼻汁は粘性増加・量的減少を認めます。
順調な経過です。

末梢血液白血球数  5,500/μl

全身状態非常な改善、局所もそれなりの改善を認めました。

こうして1例1例で勉強させてもらっていますが、

その結論は、

急性中耳炎・急性副鼻腔炎、それは「抗菌薬を使わないのが正解のウイルス感染症」であることです。

by hanahanak2 | 2012-08-07 17:09 | 微妙な判定 | Comments(0)