急性中耳炎 症例276
四国徳島からです。
「上気道・耳鼻咽喉科領域感染症はほとんどがウイルス感染症であり、抗菌薬は原則的に使用すべきでない。」
日本の代表的な学会での講演での一言です。
演者の先生は「間違い」とおっしゃられています。
3月8日に書き込みした赤ちゃん。
全身状態に問題もなく経過観察していました。
所が、5月14日、右耳漏で予定外受診されました。
耳漏出現は細菌感染症の証拠にはならないと思います。
「白血球数とその分類」検査
末梢血液白血球数 14,800/μl H
白血球3分類 リンパ球 4,100/μl H
単核球 1,800/μl H
顆粒球 8,900/μl Hb>
顆粒球1万以下は細菌感染症ではありません。
その後耳漏は続きました。
しかし、全身状態は、良好。
抗菌薬不使用ですから、下痢無し食欲旺盛。
6月10日に至り、突然停止していました。
次のウイルス性風邪(急性上下気道感染症)までは、治癒に向かって改善していきます。
5月14日と5月30日の耳漏細菌培養同定検査の結果です。
現在も声高に語られている、インフルエンザ菌・肺炎球菌・M.カタラーリスの3大起炎菌(と常識化されています)でした。
急性中耳炎・急性副鼻腔炎での典型的な経過と考えます。
ウイルス感染症のピーク時にはインフルエンザ菌・肺炎球菌・M.カタラーリスの増殖が起こり、培養同定検査の網に掛かってしまう分けです。
ウイルス感染症ですから、抗菌薬を使っても使わなくても、数日~1、2ヶ月でピークを越えて、細菌は主としてブドウ球菌優位の平常に戻って行きます。
抗菌薬を使わないでも、3大増殖細菌は検出域以下に減少するんだという論文、無いですかねえ。
by hanahanak2 | 2012-06-11 11:10 | 細菌培養同定検査 | Comments(0)