人気ブログランキング | 話題のタグを見る

急性中耳炎 症例237 その3

四国徳島からです。

染症診療では、「白血球数とその分類」検査は非常に有用な検査と思います。
白血球数だけ、顆粒球(ほぼ好中球)だけでは、確かな判定は出来ません。
白血球数・リンパ球・顆粒球の組み合わせ判定で精度が格段に上昇いたします。
是非、お試し下さい


4月14日に書き込みした5歳10ヶ月の患者さん。
ゴールが見えた患者さん。
鼻汁細菌培養同定検査の結果が数日後に判明しました。
急性中耳炎 症例237 その3_a0082724_21112084.jpg

中耳炎は順調に改善していたが、鼻汁中は肺炎球菌・インフルエンザ菌の増殖が鎮静化していなかったということになります。
抗菌薬で消滅しなければならないと考えないで下さい。
目立っていただけと思います。

しかし本日、「左耳痛」で来院されました。
急性中耳炎 症例237 その3_a0082724_2112537.jpg

確かに中鼻道に膿性鼻汁が溢れていました。
37.5度の発熱でした。
鼻汁細菌培養同定検査は患者さんに拒否されました。
「白血球数とその分類」検査を、
末梢血液白血球数   14,600/μl H
白血球3分類   リンパ球   2,700/μl H
            単核球    1,600/μl H
            顆粒球   10,300/μl H


予想外のおかしな数値がでました。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、そして白血球数1.3万以上。
細菌感染症のパターンでした。

考えるんです。
当患者さんは3月24日に、RSウイルス陽性でした。
繰り返す急性中耳炎・急性副鼻腔炎の起炎微生物としては、RSウイルスが一番と思います。
肺炎球菌・インフルエンザ菌はウイルス感染が成立すると増加しウイルスが立ち去ると検出されにくい数に減少するのではと私は思っています。
当患者さんは微熱・耳痛ありましたが、元気そのものの表情・言動でした。
本当に肺炎球菌・インフルエンザ菌の暴動であれば、深刻な事態が起こっているはずです。

明日、「白血球数とその分類」検査をもう一度やることにしました。

私の経験から、また皆さんもそんな気がしているはずですが、

急性中耳炎・急性副鼻腔炎は、ほぼウイルス感染症ですよ。

ウイルス感染症に、抗菌薬(抗生物質)を投与するのは良くないですよ。

危険ですよ。

体力が許せば、1日でも、待って使います。



消耗の激しい赤ちゃんは?

迷います。

体調絶不良の赤ちゃんは、尚のこと、抗生剤のトラブル発生の確率が高まると思うので、

迷います。

こんな赤ちゃんが本日来院されていました。

明日、再度の白血球検査です。

by hanahanak2 | 2012-05-08 22:08 | 白血球 | Comments(0)