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昨年の日本耳鼻咽喉科学会会報から

四国徳島からです。

急性中耳炎・急性副鼻腔炎、そのほとんどは、抗菌薬(抗生物質)の不要な、ウイルス感染症と思います。
上気道へのウイルス感染は繰り返すのが特徴です。


何気なく積ん読用の耳鼻咽喉科学会会報を見てしまいました。
「成人急性副鼻腔炎の・・・・・・・・検討」でした。
高名な教授の論文。
間違った事を私達に言うはずはないと思っていた先生。
耳鼻咽喉科感染症の進歩の為にご活動を懸命にやられている先生。

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はじめに
急性鼻副鼻腔炎は耳鼻咽喉科領域で日常的に遭遇する疾患のひとつで、多くの場合、ウイルス性の急性鼻炎や急性上気道炎に続発して発症する細菌感染症である。
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何か変、
①「ウイルス性の急性鼻炎や急性上気道炎に続発して」ということは上気道には副鼻腔も含まれていると思うのですが。つまり「ウイルス性鼻副鼻腔炎」がまず成立して、理由もなくそっくり「細菌性鼻副鼻腔炎」に大逆転劇が起こるのですと言うています。
②ウイルス感染が成立した時点では、副鼻腔・中耳腔にもウイルスは直行していると考えるのが自然と思います。副鼻腔自然口・耳管はウイルスにとっては速度制限無しの高速道路です。鼻炎状態だけで鼻腔内でウロウロしているはずはないと思います。
③日本耳鼻咽喉科学会では、「白血球数とその分類」を考慮しておりません。
ウイルス性の急性鼻炎や急性上気道炎の時期の「白血球数とその分類」
急性鼻副鼻腔炎の初期・ピーク時・回復期・治癒時の「白血球数とその分類」
を、丹念にたどってみて下さい。
私がこのブログで言うています、好中球1万以上でリンパ球2千以下かつ白血球数1.3万以上(この3条件を満たせばほぼ間違いなく細菌性急性中耳炎・急性副鼻腔炎と私は考えています)に該当する急性中耳炎・急性副鼻腔炎は見付けること困難を極めるはずです。
④急性中耳炎・急性副鼻腔炎は抗菌薬投与にほぼ関係なく、それなりに軽快増悪を繰り返します。そして年齢と共に何となく落ち着いてきます。中耳炎は終息に向かい、副鼻腔炎は軽症化しますが生涯悩ましい点が続きます。
⑤抗菌薬投与2,3日後に治癒状態まで改善しない細菌性急性中耳炎・急性副鼻腔炎はあり得ないと思います。
⑥急性中耳炎・急性副鼻腔炎を発症した段階での、細菌検査が陽性、だから細菌感染症との判定は理屈になっていないと思います。
最近は、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスは容易に検査出来る時代です。何故ウイルス検査を無視しているのか不可思議です。

以上思っている事を正直に書いてしまいました。

急性中耳炎・急性副鼻腔炎はウイルス感染症だから抗菌薬を使わない。のです。
急性中耳炎・急性副鼻腔炎は自然治癒が見込めるから抗菌薬を使わない、のではありません。

by hanahanak2 | 2011-09-11 22:00 | 記事から | Comments(0)