カテゴリ:抗菌薬適正使用( 14 )

レセプト審査機能強化

四国徳島からです。
「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

厚労相が学会で明かした抗菌薬削減の奥の手
2017/5/1 古川 湧=日経メディカル

 2020年までの3年間で、国内の抗菌薬の使用量が大きく減少しそうだ。保険者のレセプト審査を強化することで、不適切な抗菌薬処方を削減する案が浮上しているからだ。「現在、多くの保険者は被保険者がどのような抗菌薬の処方を受けているかあまり関心がない。保険者の意識を変えることで、明らかに不適切な抗菌薬処方をはじく仕組みを整える必要があるのではないか」。厚生労働相の塩崎恭久氏は、4月8日に行われた日本感染症学会と日本化学療法学会の合同学会で、こう話した(関連記事)。
 「不適切な処方の線引きは医師の先生方が決めるべき」としつつも、塩崎氏がレセプト審査に言及してまで抗菌薬の使用量を減らそうとする背景には、薬剤耐性(AMR)に対する国際的な危機感の高まりがある。2014年12月に報告されたイギリスのJim O'Neillレポートは、このまま何も対策を取らなかった場合、2050年にはAMRを獲得した病原体によって世界中で1000万人が死亡し、100兆ドルの経済的損失が発生すると試算している(関連記事)。
 このレポートをきっかけに、2015年5月に開かれたWHO総会では、国際的に初めてAMR対策の議論が交わされた。総会では、全ての参加国が2年以内に国家行動計画(アクションプラン)を定め、実行に移すことになった。ところが2年以内とされてはいたものの、5カ月後の10月にG7ベルリン保健大臣会合が行われたとき、「G7の中でアクションプランを作っていなかったのは日本だけだった」と塩崎氏は振り返る。「伊勢志摩サミットで安倍総理に恥をかかせるわけにはいかないと、大車輪で作ることになった」と同氏は当時の日本の後れを取っていた状況を説明した。
 欧米諸国に追い付く形で、日本政府は2016年4月にAMR対策アクションプランを決定(関連記事)。翌5月に三重県で行われた伊勢志摩サミットでも、世界経済、移民問題、テロ対策などと並ぶ形でAMR対策が取り上げられた(関連記事)。
日常診療に直結する取り組みも
 AMR対策は着々と進められているが、話のスケールが世界規模ということもあり、どこか縁遠い話に感じてしまう読者の方も多いのではないだろうか。しかし、日本が進めるアクションプランには、現場の臨床医にも影響のある取り組みが存在する。「抗微生物薬適正使用の推進」だ。
 日本における抗菌薬の使用状況に関しては、2009年から2013年までの処方販売量を基にした研究が発表されている1)。それによると、人口1000人当たりの抗菌薬の使用量は国際的に見ても多くないとされる。しかしセファロスポリン系、フルオロキノロン系、マクロライド系の経口抗菌薬に限ると日本は世界第2位の使用量となっており、塩崎氏は「特にこれらの使用割合を減らさなくてはならない」と講演で話した。
 上記3種を含む経口抗菌薬の処方を適正化するため、厚労省は今年3月に「抗微生物薬適正使用の手引き」の第一版案を公開した(関連記事)。「手引き」第一版では、急性気道感染症(感冒、急性副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎)と急性下痢症(サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、腸管出血性大腸菌腸炎)に焦点を当て、投与を行わないことを推奨するケースを疾患ごとにまとめている。尿路感染症など他の疾患については第二版以降に取り入れる予定になっている。
 ちなみに「手引き」では、抗菌薬が適正使用されていな状況を「不必要使用」と「不適切使用」に大別している。不必要使用とは抗菌薬が必要でない病態に抗菌薬が使用されている状況を指し、また不適切使用とは抗菌薬が投与されるべき病態であるが、その状況における抗菌薬の選択、使用量、使用期間が標準的な治療から逸脱した状態を指している。
 しかし、講演で塩崎氏は「手引きやガイドラインを出すことはもちろん重要だが、それだけで本当に変わるのか」と話し、不必要・不適切な抗菌薬処方をめぐって、一方的に改善を促すだけでは医師の行動が変わらない可能性を指摘した。そして、冒頭のレセプト審査機能を強化する案に言及した。
 AMR対策アクションプランは2020年まで実行される予定で、WHOは各国の抗菌薬の削減状況を確認し、2020年時点でのアクションプランの達成度を公表する。日本はG7の中でAMR対策が遅れていたという事情もあり、抗菌薬の使用量削減が強く迫られる見通しだ。日経メディカルでは、臨床にどのような影響があるのか、今後も「抗微生物薬適正使用の推進」についてお伝えしていく。
■参考文献
1)Muraki Y,et al. Infection.2013;41:415-23.


レセプト審査機能強化は診療側にとっては診療行為の委縮につながります。
正しい線引きでの対処をお願いしたいものです。
不思議に思うのは、ドル箱でなくなった抗菌薬の使用削減に努力しているに関わらず、
抗菌薬以外の製薬企業のドル箱領域には触れないことです。
新薬登場で病気が増えるという不可解なことも起こっています。

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by hanahanak2 | 2017-05-26 22:25 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

結局、抗菌薬使用基準は?

四国徳島からです。
当院の基本方針
①抗菌薬の適正使用
②改善しない鼻腔・副鼻腔疾患には手術を提案。
③糖質制限の提案・普及。

感染症に関する記事に遭遇したので、「抗菌薬適正使用」の記述を探しながら読んでみました。

風邪と診断されたのに、実は肺炎だった…それでも「誤診」ではない理由
読売新聞(ヨミドクター) 3/6(月) 12:13配信
小児外科医 松永正訓
 大学病院に19年間勤務した中で、私は一度だけ誤診をした経験があります。その患者は5歳の女の子でした。お腹(なか)に異様に大きなしこりがあるために、私たちの病院を紹介されてやって来たのです。超音波検査・X線CT検査を行ってみると、腎臓に巨大な腫瘍があり、肺にも多数の転移が見られました。こういう病気は一つしかありません。それは未熟な腎組織から発生するウイルムス腫瘍です。私たちは、女の子に手術を行い、腫瘍の一部を摘出して検査に回しました。そして検査の結果が出る前に、ウイルムス腫瘍に最適な抗がん剤治療を開始しました。
 摘出した細胞のひとかけらを私が研究室で培養していると、その腫瘍細胞は神経細胞に変化していきました。ウイルムス腫瘍ではそういったことは絶対に起きません。この腫瘍は未熟な神経細胞から発生する神経芽腫(がしゅ)です。私は急いで抗がん剤の種類を変更しました。後で調べて見ると、腎臓から発生する神経芽腫は世界でも数例しかありませんでした。極めて稀(まれ)な病気に出会うと、診断を誤ることもあると知りました。
 さて、今日は子どもの肺炎について説明します。肺炎という病態は意外と正しく理解されていないため、時に開業医と保護者の間でトラブルになったりします。
耳鼻科の診断は風邪
 幼稚園の年長組の男の子が私のクリニックを受診しました。ママの話では、その年長君は10日前から鼻水があり、咳(せき)も少しありました。鼻水が目立つので耳鼻科を受診したところ「風邪ですね」と言われて薬を出されたそうです。しかし、その後発熱し、咳がどんどんひどくなるので、小児科でも診てもらった方がいいと考えてうちに来たと言います。
 私は、耳鼻科の先生が処方した薬の内容を知りたくてお薬手帳を見せてもらいました。
ペリアクチン(抗ヒスタミン剤:鼻水止め)
ムコダイン(痰切り)
ムコソルバン(痰切り)
アスベリン(咳止め)
ホクナリンテープ(気管支拡張剤)
メイアクト(抗生物質)
ビオフェルミンR(整腸剤)
カロナール(解熱剤)
 こうした薬が並んでいます。定番と言ってもいいでしょう。そして私は年長君の様子を詳しく聞きました。発熱が5日目に入っていて、痰が絡む咳が10日間に及んでいます。聴診器を年長君の胸に当てると、右肺からゴロゴロという雑音がします。呼吸がやや速くて、呼吸のたびに肋骨(ろっこつ)と肋骨の間が少しだけ凹(へこ)みます。
 もうこの段階で診断はついています。年長君は肺炎です。胸部のX線を撮影してみると、年長君の右の肺に白い影が広がっていました。これで診断は確定です。X線写真をお見せすると、ママは矢継ぎ早に質問してきました。
 「肺炎? 風邪じゃなかったんですか? 診断が間違っていたんですか?」
 「最初から小児科に行けばよかったんですか?」
 「肺炎だと入院ですよね?」
 「何で、肺炎になってしまったんですか? 薬を飲んでいたのに」
 「下の子に肺炎がうつっていないかしら?」
 少し興奮気味のママをなだめて、私は肺炎についてじっくりと話を始めました。
確かに、最初はただの風邪だが…
 年長君に対する「風邪」という診断は間違っていません。最初はただの風邪なんです。風邪とは、上気道(じょうきどう)(のどや鼻)にウイルスが感染した状態です。この段階では肺にはまったく炎症は起きていません。ですから、診断が間違っていたということはありません。最初から肺炎の子どもなどいないのです。
 風邪(急性上気道炎)は、連載の1回目で説明したように99%以上は自然治癒します。発熱は72時間くらい、咳は長くても10日くらいです。つまり逆から説明すると、発熱が72時間を超えたり、咳が10日を超えたりした場合は、「風邪がこじれている」可能性を考える必要があります。
 上気道に感染したウイルスの病原性が高いとき、あるいはお子さんの免疫力・抵抗力がダウンしている時、ウイルスは下気道に向かって進んでいきます。下気道の行き止まりは肺ですから、最終的に肺炎になります。つまり、耳鼻科の先生が診察した時は、風邪(上気道炎)だったのですが、私が診た時は肺炎になっていたということです。耳鼻科の先生の診断は間違っていません。誤診ではないのです。
何科に行っても風邪は99%以上治る
 医者というのは不思議な職業で、どういう病気が専門なのか一般の人にはとてもわかりにくいと思います。耳鼻科とか眼科は、それぞれ「耳・鼻・喉」や「眼」が専門です。つまり、そういった臓器の専門家ですね。ところが小児科というのは専門の臓器を持っておらず、小児をトータルで診ます。さらに病気だけでなく、発達・発育も診ます。
 風邪は自然に治りますから、極論を言えば何科に行ってもかまいません。耳鼻科の先生の中には「自分は、子どもの風邪を上手に治せる」と信じている人がいるかもしれませんが、それは誤解であって風邪は自然に治っているのです。
 処方する薬も、耳鼻科でも小児科でも極端な違いはありません。しかし最近、小児科の先生の中には、風邪に対してほとんど薬を出さないという人が増えてきています。風邪に風邪薬はほとんど効果がないという判断からです。私も、この年長君を初めに診たら、
ムコダイン(痰切り)
アスベリン(咳止め)少々
 くらいしか出さないと思います。抗生物質は絶対に出しません。その代わり、生活指導をすると思います。冬であれば、保温と加湿が重要です。栄養を十分にとって、水分補給をし、疲れを残さないようにして、早寝をすることです。そして十分に洟(はな)をかむ。こうした環境整備や生活指導の方が、風邪薬を飲むより大事なんです。そこを私は強調するでしょう。
薬を飲んでいても肺炎になる
 では、年長君は、間違った薬を飲んでいたから肺炎になってしまったのでしょうか? そうではありません。みなさんは、風邪薬を飲むと風邪の進行がストップする、あるいは治癒すると考えているかもしれません。しかし、実際には風邪の症状が緩和されるだけに過ぎません。風邪薬を飲んでも飲まなくても、風邪が治るまでの期間はほとんど変わりません。風邪から肺炎に進むことを止める薬があれば、こんないいことはないでしょう。あれば私も使います。しかし、残念ながらそういう薬は存在しません。
 私は年長君のママに、家では十分に安静を保てたか聞いてみました。すると、昨日の朝は熱が下がっていたために幼稚園に行かせたと言います。体温というのは、朝は下がっていて午後から上昇に転じるものなのです。それを知らないと、風邪のお子さんを幼稚園や保育所(園)に行かせてしまうことがあります。それでは風邪は悪化してしまいます。平熱になって、その状態を24時間キープできて初めて登園させるべきです。
 さて、X線検査で肺炎を確認したら次に行うのは、血液検査です。血液検査は肺炎を起こしている病原体の犯人を推定するために必要です。ウイルスが肺にまで広がった肺炎は「ウイルス性肺炎」です。
 ところが、そこに細菌感染が加わることがあります。私たちの鼻の奥には細菌がふだんからすみ着いています。そういった細菌が肺の中へ落下して繁殖すると、「ウイルス性肺炎」は「細菌性肺炎」になります。
 また、ウイルスや細菌とは全然関係なく、マイコプラズマという病原体で肺炎になることもあります。ちなみにマイコプラズマ感染症は、乾いた咳がしつこく続くのが特徴です。まとめますと、X線検査で肺炎の有無を確定して、(主に)血液検査で「ウイルス性肺炎」「細菌性肺炎」「マイコプラズマ肺炎」の区別をつける(推定する)のです。もちろん、肺炎の原因の病原体の違いによって治療方法も変わってきます。
 なお、風邪の段階で抗生物質を飲めば「細菌性肺炎」や「マイコプラズマ肺炎」を予防できるという考え方は、 完全に間違っています 。そんなことをしても体内の細菌をゼロにすることはできません。お子さんの抵抗力を上げることの方が大事なのです。薬を飲んでいるから後は治るだけ……そんなふうに安易に考えるのはよくありません。薬に頼って油断するくらいなら、医者に行かずに家で寝ていた方がまだましです。
肺炎はうつるか?
 これもよく聞かれることですが、肺炎は風邪のなれの果てですから、肺炎という病態がそのままきょうだいにうつるということはありません。もちろん風邪の原因としてのウイルスは感染する可能性はありますが、それはあくまでも風邪に過ぎません。
 入院が必要なくらいのひどい細菌性肺炎でも、その細菌は自分の体の中から肺へ広がったわけですから、そうした細菌が人にうつるということはありません。
 微妙なのは、マイコプラズマです。マイコプラズマは自然界に存在していて、それを吸い込んでしまうために発症します。だから咳などを通して人から人へうつることもあります。きょうだい間の感染とか、寄宿舎などの共同寝室での集団感染も医学書には記載されています。しかしながら、マイコプラズマは潜伏期間が2~3週間のため、感染しても発症せずに治ってしまうことが多いのです。「うつらない」とは言えませんが、冬のインフルエンザのように大流行することは絶対にありません。
 とにかく、子どもの肺炎に関しては、誤解がとても多いと言えます。最初の診断が風邪だったからと言って、感情的にならずに落ち着いて主治医の話を聞いてくださいね。子どもの病気は変化が速いので、前日は普通の呼吸をしていたのに、翌日には呼吸困難になっていることも決して珍しいことではありません。
 「風邪は万病のもと」と昔の人は言いました。その通りですね。始まりはいつも風邪です。風邪が風邪で終わるように、自宅で十分ケアしてください。

松永 正訓(まつなが・ただし)
1961年、東京都生まれ。1987年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。日本小児外科学会・会長特別表彰(1991年)など受賞歴多数。2006年より「松永クリニック小児科・小児外科」(http://www.mtng-clinic.jp)院長。
『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』で2013年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)など。
ブログは http://wallaby-clinic.asablo.jp/blog/

非常に優秀な小児外科医ドクターですね。
もう一歩切り込んで欲しい感があります。
風邪はほとんどが「ウイルス感染症」です。
その中に「細菌感染症」がわずかに発生しております。
「肺炎」も「ウイルス性肺炎」と「細菌性肺炎」を区別して対処しなければなりません。
その肝心な対処がウヤムヤになっておりました。
「血液検査」では分かりません。
耳鼻咽喉科医批判とも思われる記述にはがっかりです。
呼吸器感染症に携わっている多くの医師も同じ傾向が続いているように思えます。
20年前の私もそんなふうでした。

「抗菌薬適正使用」をきちんと説明して欲しかったです。
膨大な数の読者の目に留まりますから。

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本日も抗菌薬診療はゼロでした。
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「スーパー糖質制限」実行中。
8時半血糖値:121mg/dl。

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by hanahanak2 | 2017-03-07 22:02 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

耐性菌の脅威

9月17日読売新聞から。

2016年9月20日 ニュース・解説
薬剤耐性菌、迫られる対策…抗菌薬頼み、増殖に拍車
 抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌が問題になっている。

 国は抗菌薬の使用量を減らし、新たな出現を食い止めようとしている。今月、神戸で開かれた先進7か国(G7)保健相会合でも国際的な主要課題の一つに取り上げられた。このままでは世界で年間1000万人が耐性菌感染で死亡するという試算もあり、徹底した対策が急がれる。

 ■ どこでも感染
 「ここ数年、病院にくる子どもには、抗菌薬が効きにくい感染症が目立つ」

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の宮入烈・感染症科医長は危機感を募らせる。マイコプラズマという細菌が感染して起きる肺炎。小学生に多く、以前は子どもによく使われる抗菌薬を飲むことで治っていた。

 だが、最近はその抗菌薬に耐性を持つ菌が増え、子どもには副作用の懸念がある別の抗菌薬を使わざるを得ないこともある。重症化して入院が必要な子どもも増えているという。

 けがなどで体に入った細菌が骨に侵入し、炎症を起こす急性骨髄炎でも耐性菌が出てきた。健康な妊婦でも、耐性のある大腸菌を持つことがあり、出産時に赤ちゃんに感染して、命に関わることもある。「かつて耐性菌が問題になるのは病院内が中心だったが、今やどこで誰が感染してもおかしくない」と宮入医長。

 ■ 意識にも問題
 耐性菌は、抗菌薬の使い過ぎや、体内に菌が残っているのに服薬を止めるなどの不適切な使い方をすることで増える。遺伝子が変化するなどして、薬が効きにくくなった菌だけが増殖して、周囲の人にも感染が広がってしまう。

 日本は1種類で様々な細菌に効く抗菌薬の処方が多く、その使用量は先進国でもトップクラス。広く効果が見込めるため使いやすいが、同時に様々な細菌が耐性化してしまう危険もある。体内の腸内細菌のバランスが崩れ、生き残った毒素を出す菌が腸炎を起こし、高齢者など抵抗力の弱い人では死亡することもある。

 抗菌薬の適正使用に取り組む奈良県の「やわらぎクリニック」の総合診療医、北和也さんは「患者の意識にも問題がある」と指摘する。

 例えば、風邪の大部分はウイルス性で、細菌を殺す抗菌薬では効果がない。だが、東北大の調査では、風邪で受診したら必ず抗菌薬を処方してほしいとの答えが2割に上った。北さんのクリニックでは、丁寧に説明して納得してもらうが、「社会全体の意識を変えることが重要」と訴える。

 ■ 川から検出
 飲んだ抗菌薬は便から排出され、環境も汚染する。便の混じった下水は、水処理センターで浄化されるが、抗菌薬の成分は残ったままだ。日本環境化学会の全国の1級河川の抗菌薬濃度調査では、多摩川(東京都)、庄内川(愛知県)、大和川(大阪府)の都市河川が突出して高かった。

 抗菌薬を含んだ川の水は耐性菌を発生させる。東京海洋大学の浦野直人教授が多摩川で耐性菌を調べたところ、水処理センターの排水口より下流の領域で、2、3種類の抗菌薬に耐性を持つ菌が多く見つかった。

 それだけではなく、多摩川上流の水と泥でも多くの薬剤に耐性を持つ菌が検出された。養魚場で抗菌薬が使われていることが原因とみられる。「人だけでなく、魚や家畜に使う抗菌薬も環境を汚染する。総合的な対策が必要だ」と指摘する。

 耐性菌を減らすには、まず無駄な抗菌薬を使わないことだ。国は今年4月、医療機関や家畜、ペット、環境中の耐性菌の監視や抗菌薬の適正使用を促し、2020年までに全体の抗菌薬使用量を現在の3分の2に減らす行動計画を発表した。実現には国民一人一人の理解と協力も欠かせない。

より強い菌、世界で流行
 世界では、ほとんどの抗菌薬に耐性を持つ「スーパー耐性菌」が広がり、脅威となっている。

 多剤耐性菌治療の切り札とされる抗菌薬「カルバペネム」が効かない腸内細菌で、1990年代に入って各地で報告されたが、2010年にインドで流行して一躍注目を集めた。米国では肺炎などを引き起こした9000人のうち600人が死亡した。菌が血液に入って敗血症を起こした場合の致死率は50%に上るとされる。米疾病対策センター(CDC)は13年、早急な対策が必要と警告した。

 抗菌薬の使用はアジア、アフリカなどで増加しており、英政府の依頼を受けた専門委員会は14年、耐性菌が現在のペースで増加した場合、50年にはこれらの地域を中心に耐性菌感染による死者が年間1000万人に達するとの試算を発表した。翌年、世界保健機関(WHO)は全ての国が具体策を講じるよう呼びかけた。

 国内ではカルバペネム耐性菌の検出率はまだ低いものの、昨年1年間に1669人が感染症を発症、うち59人が死亡した。

 名古屋大学の荒川宜親教授(細菌学)は「海外の耐性菌がいつ国内に広がってもおかしくない」と指摘する。

 国立感染症研究所は来年度から、国内で実施してきた医療機関での耐性菌の発生状況の監視、感染予防策を発展途上国に伝授する。柴山恵吾・細菌第2部長は「海外での耐性菌の発生動向の把握は、日本のためにも重要」と話す。

 今月のG7保健相会合でも、世界的な監視を強化していくことを確認した。

 (編集委員・館林牧子、医療部・原隆也)

総論では日本も合意しておりますが、
各論となると・・・・・・
ウイルス性の呼吸器感染症に、
耳鼻咽喉科では、急性中耳炎・急性副鼻腔炎に、
「これでもか抗菌薬診療」ですよ。

日本は世界の笑いものですよ。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:91mg/dl。

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例えば

頭痛・咳痰等の症状の急性副鼻腔炎 患者さん。

末梢血液白血球数 10,500/μl H

ウイルス性急性副鼻腔炎 です。

抗菌薬は、不要です

一手間掛けると、容易に分かるはずですがねえ。
不可思議な診療が続く不思議な世界です。
患者さんも、それで納得されておるのも不思議です。

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by hanahanak2 | 2016-10-08 17:08 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

ずっと抗菌薬が

四国徳島からです。
「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

急性中耳炎・急性副鼻腔炎は、繰り上げ100%ウイルス感染症です。
これでもかこれでもか抗菌薬診療は止めて欲しいのです。

50歳代の患者さん。
難聴での受診でしたが、
5月に左頬部痛あり、CT撮影の可能な医療機関を受診されました。
病歴に重大疾患がある関係もあったのでしょう。

CT画像にて「左上顎洞」に強い陰影あり抗菌薬等の療法が始まりました。
5月
クラリス200mg2錠 14日分(+シングレア・ムコソルバン・漢方薬)
クラリス200mg1錠 28日分 (同上)
6月
グレースビット50mg2T 14日分 (同上)
7月
クラリス200mg2錠 14日分 (同上)
クラリス200mg1錠 30日分 (同上)
8月
クラリス200mg1錠 30日分 (同上)

当院受診は、9月。
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左上顎洞からの粘膿性鼻汁です。
この間、3回のCT撮影です。
耳鼻咽喉科への紹介をお願いしたい所です。
ヘッドライト下には診断は困難ですが、ファイバースコープ下で状態把握は簡単です。
状態把握にCT撮影を用いるとすると10回20回と続けるのでしょうか。
放射線被曝はドンなんでしょう?

末梢血液白血球数 6,600/μl。

ウイルス性急性副鼻腔炎 です。繰り返すタイプか居座るタイプかは判断出来ません。

ロイコトリエン受容体拮抗薬であるシングレア10mg1錠/日のみの服用継続をお願いしました。
これで治らないのは内視鏡下副鼻腔手術です。

1週間後、
a0082724_17034183.jpg

改善無しでした
月単位でのロイコトリエン受容体拮抗薬内服で経過観察いたします。
状態は、ファイバースコープ検査で100%とはいきませんが、分かります。

抗菌薬診療・CT撮影、患者さんが信頼する診療項目なんですね。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:94mg/dl。

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2016.08.17 47NEWS
糖尿病増加は高齢化が主因 埼玉医大などが分析

 代表的な生活習慣病で、患者が年々増えている糖尿病。野田光彦埼玉医大教授(内分泌・糖尿病内科)らのチームは、人口に占める糖尿病患者の割合(糖尿病有病率)の推移について、意外な結果を専門誌に発表した。

 「日本の糖尿病対策の検討には、人口構成の変化にもっと注意を向ける必要がある」とチームは問題提起している。

 チームが分析に使ったのは、1988~2011年の糖尿病有病率のデータを含む国内の大規模疫学研究6件、国による健康調査9件。計約16万1千人の成人男女が対象になっている。

 まず1990年から2010年までの有病率を算出し、それを基に30年までの有病率を予測したところ、1990年に6・6%(患者数約600万人)だった有病率は2010年に7・9%(同約830万人)に増え、30年には9・8%(同約970万人)まで伸びると推計された。

 次に、人口の高齢化による影響を除くとどうなるかを見るため、10年時点の男女別の人口構成がずっと変わらないと仮定する「年齢調整」と呼ばれる計算法で推計し直したところ、1990年から2010年までは有病率7・9%で変化がなく、30年の予測値も8・3%と大きくは変わらないとの結果が出た

 野田教授によると、高齢化でなぜ糖尿病が増えるかについては、完全には解明されていない。同教授は「メカニズムの研究とともに、高齢患者に重点を置いた政策検討を急ぐべきだ」と指摘している。

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学会の演題にも少々の糖質制限が出ております。
そして、江部康二先生を先頭に多数の先生方が糖質制限の懸命な普及活動をされておられます。
クスリに頼る学会は、そんな食事療法で解決出来る行動を無視しているのです。

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by hanahanak2 | 2016-09-17 21:34 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

急性中耳炎・急性副鼻腔炎は、ウイルス感染症ですよ。

四国徳島からです。
「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

最近、急性中耳炎・急性副鼻腔炎で悩まれておられる患者さんからのコメントをいただきました。

初めまして。
北陸在住で4才になる息子がいます。
息子は1才頃より副鼻腔炎、中耳炎を繰り返しており、現在まで月の半分程は抗生剤を服用してきました。
1、2才の頃の症状は緑鼻が垂れ、鼻水が出ている間口臭がきつくなることだったのですが、ここ最近は鼻水が垂れることはあまりなく鼻くそが溜まり鼻閉、痰が絡む咳、咳払い、一日中きつい口臭がし、どうにかならないものかと頭を悩ませています。
母親である私も、10年前から副鼻腔炎を繰り返し後鼻漏に苦しんでいるのでもしかして遺伝なのかと罪悪感でいっぱいです。
鼻くそが溜まり息苦しそうで言葉を発する度に痰が絡み、お友達から口が臭いと言われる息子を見てかわいそうでなりません。
(定期的に歯科に通っており、口腔には口臭の原因はないとのこと)
3才の頃にはいびきがひどく、アデノイドと扁桃腺を切除しました。
その時医師からは、アデノイドを切除すれば副鼻腔炎はなりにくくなるかもしれない、そうなれば嫌な臭いもしなくなる、と説明を受けましたがいびきは多少良くなったものの副鼻腔炎については変わらずでした。
最近行った病院では鼻水の培養でmrsaが検出されホスミシンを処方されました。
これで良くなるのでは…!と期待しましたが緑鼻は出続け、ホスミシンが効かないようだからオラペネム出しておきます、と言われ5日間飲みました。
オラペネムは何回か飲んだことあるのですが、飲んでいる間は鼻水も止まり口臭も嘘みたいになくなります。
ですが薬がなくなって数日すると元に戻ってしまいます。
一体どうしたらよいのでしょう?
4才児の副鼻腔炎、後鼻漏、口臭(因果関係はわかりませんが)の治療はしていただけますか?
また、私も後鼻漏がひどく一日中咳払い、鼻水が喉を通る際の吐き気、咽頭痛で頭がおかしくなりそうです。
鼻中隔、扁桃腺の手術、鼻うがい、bスポット、漢方、あらゆる治療をしてきましたが治りません。
良くなる可能性があるのなら、遠いですが徳島まで通いたいと思っております。
どうか、よろしくお願いします。

よーく、読んで下さい。
これでもか抗菌薬診療でも改善増悪をくり返すのは、ウイルス感染症です。
これだけの抗菌薬使用でも増悪し、現在の所大きな後遺症が出ていないのはウイルス感染症です。
抗菌薬が処方される時には、上記の使用基準を提示する事も有りかなと思います。

私の提案は、
①抗菌薬その他の投薬を中止。
②ロイコトリエン受容体拮抗薬だけを続ける。中等度の咳があればメプチンドライシロップも。
③糖質制限
です。

そして、母さんには、
短期長期の具合により、鼻腔手術とか内視鏡下副鼻腔手術とかを考えます。
子供さんには、
鼓膜切開とかチューブ留置術は行いません。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:89mg/dl。

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by hanahanak2 | 2016-09-16 21:51 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

米食品医薬品局(FAD)の警告

四国徳島からです。
「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

注目の記事です。

臨床ニュース
フルオロキノロンの警告強化
適応制限に関する記載も追加
米食品医薬品局(FDA)2016年7月27日 (水)配信 一般内科疾患感染症投薬に関わる問題

 米食品医薬品局(FDA)は7月26日、フルオロキノロン系抗菌薬に関する安全性情報を発出。不可逆的かつ永続的な機能障害が多発するリスクがあり、重篤性の高くない感染症に使用しないことなどの警告を強化すると述べている。

 安全性情報の対象となったのは米国内で承認されているレボフロキサシン、シプロフロキサシンおよび同成分の徐放製剤、モキシフロキサシン、オフロキサシン、gemifloxacinの6品目。

 フルオロキノロン系抗菌薬については2008年、11年、13年にも、経口および注射製剤の使用に関連したアキレス腱の炎症や断裂、重症筋無力症の増悪、不可逆性の末梢神経障害などに関する枠組み警告が追加されている。今年5月にはさらに、これらの副作用が同時発生する懸念があるとして、他に代替治療がない場合にのみ使用するとの安全性情報を発表していた。

 今回の指示はこれに続くもので、添付文書には複数の副作用が同時に起こるリスクに関する記載、ならびに適応症の制限に関する記載が追加される。FDAはフルオロキノロン系薬使用のベネフィットがリスクを上回ると考えられる感染症の一例として炭疽菌やペスト菌感染症、一部の細菌性肺炎を挙げている。


非常に厳しい警告です。

レボフロキサシン:クラビット
シプロキサシン:シプロキサン
モキシフロキサシン:アベロックス
オフロキサシン:タリビッド
gemifloxacin:日本未発売

FADの警告ですから、成人の急性中耳炎・急性副鼻腔炎にクラビットは使用禁止になるんですか?
民間保険会社では支払い停止扱いになるんでしょうね。

日本は、抗菌薬を使い過ぎですよ。
伊勢志摩サミットで非難されるはずです。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:103mg/dl。

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by hanahanak2 | 2016-08-02 22:13 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

グラム染色は万能?

こんな記事に遭遇。

毎日新聞 医療プレミアム
その風邪、細菌性? それともウイルス性?
2015年11月22日 谷口恭 / 太融寺町谷口医院院長

知っているようで、ほとんど知らない風邪の秘密【2】

 前回は「風邪」の定義を「急性の上気道炎症状をきたす感染症」とすること、抗菌薬(今回からは「抗生物質」という言葉は使いません)は細菌性の風邪についてのみ有効であることなどを述べました。

 今回は、そもそも細菌性かウイルス性かそれ以外かについてどうやって判別すればいいのか、という話から始めたいと思います。しかし、一般の人がウイルス性か細菌性か、などと考える必要はありません。重症であれば医療機関を受診する、ただそれだけを覚えておけば十分です。

 ただし、赤ちゃんや寝たきりの高齢者、あるいは抗がん剤を使用している人やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)陽性の人、そのような人と共に暮らしている人、介護職に従事している人などは注意が必要です。また、MERS(中東呼吸器症候群)流行地から戻ってきた人や海外で蚊に刺された人などは、軽症であったとしても十分な注意が必要です。いずれも重大な症状に移行したり、他の病気を悪化させたりする可能性があるためです。

医師はあなたの風邪の正体をどうやって見定めているか

 ここからは、風邪症状を訴えた患者さんを診て、我々医師がどのようにそれが細菌性か否かを鑑別しているかについて紹介したいと思います。内容は一般の人向けというよりは医学生や研修医向けとなるかもしれません。しかし、一般の方にも知ってほしいこともありますのでこのまま読み続けてもらえればうれしいです。

 風邪症状を訴えた患者さんが受診したとき、我々は歩き方、表情、呼吸の仕方、話し方や声の様子などにも注意をします。問診ではいつからどのような症状が始まったか、現在はどのような症状があり最も困っていることは何か、元々風邪はひきやすいのか、自身ではどのようなことが原因と考えているか、海外旅行の有無は、ペットは飼っているか、周囲で同じような症状の人がいないか、といったことを尋ねていきます。熱を測定し、咽頭(いんとう)の発赤の程度(喉がどの程度赤くなっているか)を見て、せきが強ければ胸の音を聞きます。現在かかっている病気や過去の病気について尋ね、今飲んでいる薬や薬のアレルギー、喫煙の有無、妊娠の有無なども確認していきます。

 この時点で「軽症の風邪」と判断すれば、抗菌薬はもちろん処方しませんし、一切の薬を処方せずに帰宅してもらうこともあります。ここでいう「軽症の風邪」とは「ほとんどのウイルスによる風邪」もしくは「細菌感染による軽度の風邪」です(注1)。「ほとんどのウイルス」とは具体的にはライノウイルス、コロナウイルス(注2)、エコーウイルスなど感染してもたいして重症化しないウイルスです。インフルエンザウイルスは別に考える必要がありますし、MERSやデング熱など重症化するものも「ほとんどのウイルス」には含まれません(インフルエンザについては回を改めて述べます)。

初診でレントゲンや血液検査はほとんど不要

 軽症でないかもしれないときは、検査を考慮した方がよい、ということになります。ただし初回にレントゲン撮影をすることはまずありません。せきが長引いていて肺炎や結核、あるいは肺がんを疑うときに撮影することもありますが、それらは例外です。副鼻腔(ふくびくう)炎を疑ったときに顔面のレントゲンを撮影することもありますが、やはり初診時に行うことはまずありません(注3)。レントゲン撮影は必要最低限にすべきだからです。放射線被ばくの問題もありますし、医療にかかる費用を不必要に増加させないためにも、過剰な撮影は避けた方がいいでしょう。初診時に「レントゲンをとってほしい」と訴える患者さんがいますが、多くのケースでそれは過剰診療に当たります(注4)。

 血液検査については、症状が強ければ実施することもありますが、日ごろ健康な人の風邪の症状で初回から採血をすることはほとんどありません。血液検査で白血球の増減を見ることは、重症度の判定や細菌性かウイルス性かの区別をするときに有効です。またC反応性たんぱく(CRP)やプロカルシトニン、あるいは血沈(ESR)の検査値はそれなりに参考にはなります。しかしあくまでも参考です

 たとえば重症の糖尿病や悪性腫瘍(がん)、HIV感染症など、免疫系に異常がある場合は、比較的早い段階で採血をします。また日ごろ健康な人で40度を超える高熱や動けないほどの倦怠(けんたい)感、割れるような頭痛などがある場合も同様です。しかし太融寺町谷口医院(以下谷口医院)の例でいえば、風邪症状での受診で、初回から採血をすることはほとんどありません。その理由はいくつかあります。まず、たかが採血でも体に針を刺すと痛みが生じ、費用も当然かかります。そうまでして行っても、血液検査の結果はすぐに出ないという欠点もあります(注5)。

顕微鏡でたんを調べて見通しを立てる

 では、どのような検査が有効かというと、谷口医院では、患者さんの喀痰(かくたん=たん)や、咽頭スワブ(のどを綿棒でぬぐったもの)をスライドガラスに引いてグラム染色という特殊な染色を行い、顕微鏡で観察するという方法をよく用います。顕微鏡で細菌の像及び細菌を退治するために集まってきた白血球を観察するのです。その細菌が丸い形状の球菌なのか、細長い形の桿菌(かんきん)なのか、色は青色(グラム陽性)か赤色(グラム陰性)なのかなどを見ることで、原因となっている細菌の見通しを立てることができます。

 この方法は有用な情報が得られるだけではありません。時間は5分もかからず、痛くもなく、被ばくもしません。その上、費用も安いのです。喀痰や咽頭スワブを用いた検査では「培養検査」といって増殖している細菌の種類まで調べることのできる検査もありますが、通常初診時には行いません。値段が高いですし、結果が出るまでに1週間前後もかかるからです。

 細菌は誰の咽頭(=のど)にも存在していますから、細菌がそこに「いる」だけでは感染症ではありません。感染症として「悪さをしている」かどうかを見るのです。悪さをしている細菌の場合、好中球と呼ばれる一部の白血球が細菌をとらえている像が観察され、これを指標にします。当然のことながらウイルス感染では細菌像は見えず、好中球はさほど現れません。ただし、一部の顕微鏡にうつらないほど小さな細菌(たとえば百日せきやマイコプラズマ、クラミドフィラ/クラミジア)の場合は、白血球の数や臨床症状から推測し、どうしても診断を確定する必要があれば検査キットの使用や採血を行うこともあります(注6)。

 次回は抗菌薬の飲み方の注意点を説明していきます。

   ×   ×   ×

注1:細菌性の感染症には抗菌薬が必ず必要と考えている人がいますが、そうではありません。特に基礎疾患(糖尿病や悪性腫瘍、HIV感染症など)のない健康な人で、軽症であれば患者さんの自然免疫力に期待して抗菌薬を処方しないこともあります。抗菌薬の処方には、いつも「ベネフィットとリスク」を総合的に考える必要があります。

注2:コロナウイルスというとSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERSの原因ウイルスとして有名ですが、これらはコロナウイルスが変異して重症化した「特殊型」であり、以前から日本に存在するコロナウイルスは感染しても重症化はしません。

注3:急性副鼻腔炎を疑ったときは頬骨(ほおぼね)のあたりを軽くたたいてみます。両側に圧痛が生じれば可能性が高いといえます。当たり前ですが、この診察で追加料金はかかりません。

注4:レントゲン撮影はどんな部位でも最小限にすべきです。谷口医院の場合、腰痛を訴える患者さんに初回で腰のレントゲン撮影をするのは10人に1人もいません。また、CT(コンピューター断層撮影)についてはさらに慎重になるべきです。東日本大震災以降、被ばくについて関心をもつ人が増えたおかげで、「とにかくCTを撮ってください!」という人は減りました。かつては頭痛やせきがあるだけでCTを希望する人が多く、不要であることを説明するのに何度も苦労しました(今でも皆無ではありません)。

注5:大きな病院や一部の診療所では白血球の数値やC反応性たんぱく(CRP)については数十分で結果がでる器械を置いています。ただし細菌感染かどうかを最もよく知ることのできるプロカルシトニンはほとんどの施設では1〜3日かかりますし、費用は安くありません。

注6:本文では診察と検査で細菌性かウイルス性かを見分ける方法を述べましたが、自覚症状からある程度の見当をつけることもできます。さほど高熱がでず、くしゃみ、鼻水、軽度の咽頭痛があり、食欲は多少落ちるものの食べられないわけではない、という程度であればほとんどがウイルス感染です。一方、自覚症状からも細菌性を疑うのは、左右どちらかの扁桃(へんとう)が痛い場合、つばを飲み込んだときに激しい痛みが生じるとき、高熱と咽頭痛が強いわりには鼻水やくしゃみがさほどない場合、濃い色をしたたんがでる場合、などです。こういった症状があり、軽症でないと判断した場合は医療機関を受診すべきでしょう。

谷口恭
太融寺町谷口医院院長
たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト


当記事では、細菌感染症か否かの決定打は「グラム染色での細菌把握かつ好中球の細菌貪食」との事です。

やってみた事あります。
急性中耳炎・急性副鼻腔炎の耳漏・膿性鼻汁をグラム染色した経験では、ウイルス感染症であるはずの耳漏・鼻汁にはグラム陽性球菌が大量ですし、好中球優位でリンパ球は劣勢でした。

そんな経験もあり
ウイルス感染症か否かの判定に「白血球数とその分類」検査を最優先しているのです。
その上で、ウイルス感染症の経過をたどるかどうか注意深い観察をしています。

細菌感染症か否かの判定に「グラム染色」を最優先すると、ウイルス感染症を細菌感染症と誤診してしまう大きな危険があると思います。

当院では、「白血球数とその分類」検査を最優先した診断をしております。
判定に自信がない場合には、
●翌日再検
●ロイコトリエン受容体拮抗薬と抗菌薬の二股投薬
とかの選択を致します。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:105mg/dl。

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by hanahanak2 | 2016-07-20 21:59 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

伊勢志摩サミット

四国徳島からです。
当院の基本方針
①抗菌薬の適正使用
②改善しない鼻腔・副鼻腔疾患には手術を提案。
③糖質制限の提案・普及

私が毎日訪問しているブログは、「ドクター江部の糖尿病徒然日記」です。
実行すればブログ内容の通りに驚異的な改善効果が得られます。
長期的な安全性・効果は、糖質制限人が示して行かなければなりません。
製薬メーカーは、糖質制限を無視しますから。

そしてもうひとつ注目しているブログは「ちくてつブログ」です。
「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のコメントに驚きの情報を寄せてくれておりました。
しかし、突如、江部康二先生から離れてしまいました。
現在、「低糖質・低タンパク・低脂肪・低カロリー」食、つまり小食菜食を実践されておられます。
1型糖尿病をお持ちになっておられますので、真剣に立ち向かってきた結果とは思われます。

そのブログ中記事。

<日本の医者はやりたがるけど海外の名医はやらない「手術と薬」の実名 その1
2016-07-18 06:33:06
テーマ: 医者の本音
「世界の医療の常識」は「日本の非常識」で日本の患者は食い物
「週刊現代」7月23日号

日本の医療は謎だらけ

>「経済政策ばかりが話題になっていたように報じられていますが、5月の伊勢志摩サミットで日本がやり玉に挙げられた重要な議題がありました。それが抗生物質の使用と耐性菌についてです。抗生物質の使い過ぎで、耐性ができた細菌が増殖していることが世界的な問題になっています。いまだに風邪をひいた患者にまで抗生物質を処方するような日本の医療が批判されたのです」

こう語るのは、厚生労働省の関係者。風邪は細菌よりもずっと小さなウイルスが原因で症状が起きる。
科学的に抗生物質が効かないことは明らかになっているが、病院に行ったときの「お土産代わり」に薬を欲しがる患者も多い。

ニューヨーク医科大学教授のランディ・ゴールドバーグ氏が語る。
「日本とアメリカは保険制度の違いもあり、薬の処方のされ方、治療方法も異なります。
なかには欧米ではまず行われないような治療法が、日本で行われている例もあります。安易に抗生物質を出すことはその典型です」>



そんな新聞報道は見てませんよ。見逃した?
なんの話題も無かったですよ。

日本の医療の不安。
①欧米で普及している医療を日本に導入する、足し算の医療に熱心です。
②欧米で見直されている医療を減速させる、引き算の医療には無関心です。

その一つの例が、急性中耳炎・急性副鼻腔炎に対する抗菌薬療法です。
学会は、「日本と欧米では医療環境が違う」とか言い続けています。

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by hanahanak2 | 2016-07-18 21:31 | 抗菌薬適正使用 | Comments(0)

お薬手帳

四国徳島からです。
「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

急性中耳炎・急性副鼻腔炎では、繰り上げ100%ウイルス感染症です。
抗菌薬不使用が正解です。

園児です。
県西部より当ブログを頼りに受診されました。
くり返される抗菌薬処方に疑問を持たれたからです。

2歳時に睡眠時無呼吸症候群にて、アデノイド切除+口蓋扁桃摘出術を受けておられました。
現在の悩みは、①イビキ②くり返す急性副鼻腔炎でした。

a0082724_21403084.jpg

急性中耳炎は沈静化しております。
②鼻腔・鼻咽腔の状態は、ファイバースコープの挿入を拒否されたので無理はしません。
この画像からは、粘性鼻汁は中等量と思います。
典型的な、アデノイド顔貌はありません。

当日の「白血球数とその分類」検査。
末梢血液白血球数 13,100/μl H
白血球3分類 リンパ球数  6,400/μl H
       単核球数   1,500/μl H
       顆粒球数   5,200/μl 


現在、ウイルス性感染症の真っ只中。

抗菌薬は中止していただき、
ロイコトリエン受容体拮抗薬の内服に切り替えていただきました。
月単位の投薬になります。

最近の投薬状況をまとめられておりましたので見せていただきました。
2015年
3月
クラリスロマイシン 7日
4月
バナン 後発品 5日
5月
クラリス 4日
クラバモックス 3日
メイアクト後発品 5日
クラリスロマイシン 7日
6月
メイアクト後発品 5日
キプレス(ロイコトリエン受容体拮抗薬)7日分+7日分 県外で
8月
クラリスロマイシン 5日分
9月
オゼックス 7日分
クラリシッド 14日
10月
メイアクト 7日
クラリシッド 14日28日
11月
クラリシッド 7日分
12月
クラリシッド 7日+14日+14日
2016年
1月
クラリシッド 14日+14日
2月
オゼックス 5日

私がそれぞれの処方日に診察した分けでないですが、
くり返すウイルス性急性副鼻腔炎に、抗菌薬は不必要と思う者です。


方針として、
①抗菌薬は「白血球数とその分類」検査で判断すること。
②糖質制限に心掛けた食事。
2点を要請しました。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:103mg/dl。

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2月25日(木)発売の週刊文春に、桐山秀樹さんと長年パートナーで過ごした、文芸評論家の吉村祐美さんのインタビュー記事が掲載されました。

冒頭、吉村さんは、桐山さんの急死と糖質制限食の関係をきっぱり否定しておられます。


ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」昨日の記事を是非お読み下さい。

糖質制限をきちんと続けておられると防げたと思われる悲劇でした。
講演会等で日本中を駆け回っておられる中で糖質制限が緩んでいたのでしょう。
有名人の場合に食事・健康状態を公開していただくと糖質制限の適否の判断がより明確になると思います。

吉村祐美氏の勇気に感謝したいです。

桐山秀樹氏のご冥福をお祈りします。

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by hanahanak2 | 2016-02-27 22:22 | 抗菌薬適正使用 | Comments(5)

急性中耳炎

四国徳島からです。
「抗菌薬の適正使用」の一助になればと思い、当ブログを続けています。
当院では使用基準(暫定)を設けて対処しています。
顆粒球1万以上、リンパ球3千以下、白血球1.3万以上、です。

検出菌最優先診療は止めましょう。参考程度です。
全身状態把握、「白血球数とその分類」検査からのスタートの日常化が重要です。

2006年平成18年、日経メディカルの記事です。

【日経メディカル8月号特集連動企画 急性中耳炎】
治らない”“繰り返す”が深刻化する乳幼児
2006/8/17  亀甲 綾乃=日経メディカル

 小児の急性中耳炎がなかなか治らない。治ったと思ってもすぐに繰り返す――。ここ数年、プライマリ・ケアの現場ではこうした困惑の声が増える一方だ。本来なら予後良好な急性中耳炎が難治化・遷延化する一因となっているのが、主要起炎菌である肺炎球菌とインフルエンザ菌の著しい薬剤耐性化だ。

肺炎球菌の8割が耐性化
 肺炎球菌の薬剤耐性はペニシリンGへの感受性(最小発育阻止濃度:MIC)を基準に決められており、感性菌(Penicillin susceptible Streptococcus pneumoniae:PSSP、MIC≦0.06μg/mL)、軽度耐性菌(Penicillin intermediately resistant S. pneumoniae:PISP、MIC 0.125~1μg/mL)、耐性菌(Penicillin resistant S. pneumoniae:PRSP、MIC≧2μg/mL)に分類される。乳幼児の耳鼻科感染症では、PRSP、PISPの検出頻度が既に8割近くに達している(図1左)。

 一方、インフルエンザ菌の薬剤耐性は、欧米ではβラクタマーゼ産生によりペニシリン系薬に耐性を示すものが主だが、わが国ではここ6~7年で、βラクタマーゼ産生以外の機序でβラクタム系薬に広く耐性を示す、βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(β-lactamase non-producing ampicillin resistant:BLNAR、MIC≧2μg/mL)が急激に増加し、問題となっている(図1右)。

 とりわけ、0~2歳の乳幼児で耐性菌の検出頻度が高いのが特徴で、その理由としては、(1)0歳児からの集団保育の増加による感染機会の増加、(2)免疫応答が未熟なため、鼻咽腔に細菌が定着しやすく、抗菌薬投与による耐性化やウイルス感染を契機とした増殖が容易に起こる――などが指摘されている。

 こうした現状を踏まえ、小児の急性中耳炎の第1選択薬として挙げられるのは、アモキシシリンだ。PRSPやBLNARはセフェム系を含めたβラクタム系薬に広く耐性を示す多剤耐性菌だが、ペニシリン系薬は、セフェム系薬に比べて殺菌力が強く、組織移行性にも優れている。中でもアモキシシリンは、高用量で用いればPRSPに対して十分な中耳濃度が得られることが分かっているためだ。特に、今年上市された小児用のクラブラン酸・アモキシシリン配合薬(商品名クラバモックス)は、アモキシシリン90mg/kg/日の高用量投与が可能なため、耐性菌事情に詳しい耳鼻科医から高い評価を得ている。



抗菌薬使用で治らない・繰り返す小児急性中耳炎。
ウイルス感染症ではと疑う視点が全くありません。
迷走する診療に陥ります。
そして、
新規抗菌薬が登場すると、高い評価を与える事を繰り返しております。

11月19日に記事にしました、「クローズアップ現代11月17日」では、
「オラペネム」「オゼックス」という新規抗菌薬も無効になっている耳鼻科医の発言でした。
オラペネム・オゼックスの次の新規抗菌薬はありません。

抗菌薬が効かない効かないとの大騒動する割に、結局、成長と共に治ってしまう急性中耳炎。
急性中耳炎の原因微生物は、繰り上げ100%ウイルス感染症ですよ


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a0082724_12105634.jpg

左耳痛で受診された、小学生です。
急性中耳炎・急性副鼻腔炎です。
ウイルス性急性中耳炎・急性副鼻腔炎を強く疑い「白血球数とその分類」検査を実施。
末梢血液白血球数 15,100/μl H
白血球3分類 リンパ球数   3,800/μl H
       単核球数     900/μl H
       顆粒球数    10,400/μl H
    


リンパ球数3千以上が決め手です。
ウイルス性急性中耳炎・急性副鼻腔炎の診断に迷いはありません。

ロイコトリエン受容体拮抗薬
メプチン(咳出現時)
薬剤選択は2剤です。

抗菌薬は不要です。

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by hanahanak2 | 2015-11-23 12:22 | 抗菌薬適正使用 | Comments(4)