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高血糖と認知症

四国徳島からです。
当院の基本方針
①抗菌薬の適正使用
②改善しない鼻腔・副鼻腔疾患には手術を提案。
③糖質制限の提案・普及。

ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」2012/11/29の記事です。

久山研究と認知症
『糖尿病学2012』(門脇孝編) 診断と治療社(2012年5月刊)
pp93-100 ”糖尿病とAlzheimer病”
清原 裕 (九州大学大学院医学研究院環境医学分野)
www.shindan.co.jp/books/index.php?menu=10&cd=194400&kbn=1

【高血糖が認知症発症に関与する機序】

糖代謝異常が認知症をもたらす機序として、様々な学説が提唱されている。高血糖/糖尿病は脳動脈硬化を進展させて脳卒中を発生させるとともに、微小血管病変を形成して潜在的脳虚血を惹起し、VaDの原因となることが知られている。また、高血糖、特に食後高血糖は細胞内の酸化ストレスを増大させ、核酸やミトコンドリアに障害をもたらすといわれている。それが脳の機能的・構造的異常を徐々に促進して脳の老化をもたらし、最終的にAD様変化につながるという考えもある。さらに高血糖状態が長期間持続することで終末糖化産物(advanced glycation endproducts: AGEs)が形成されるが、これがADの中核物質であるAβの沈着や、タウ形成に関与するとの説もある。

また、インスリン代謝障害がAD発症にかかわる可能性も指摘されている。インスリンはAβの分泌を促進するとともに、細胞外でAβ分解作用を有するインスリン分解酵素と競合してAβの分解を阻害する。その結果、Aβが過剰となり老人斑の形成や神経原線維変化をもたらすといわれている。このインスリン分解酵素は肝、腎、筋肉とともに脳に高率に発現するが、糖尿病ではその活性が低下しているとの報告もある。インスリン分泌は、糖尿病発症前の軽度糖代謝異常の段階で最も亢進していることが知られている。前述の久山町の疫学調査や病理学的検討の成績は、これらの学説とよく一致している。つまり、高血糖/糖尿病を有する者の脳は、Aβが沈着しやすい環境下にあると考えられる。

【おわりに】
久山町における認知症の疫学調査では、糖尿病を含む糖代謝異常はVaDのみならずAD発症の有意な危険因子であつた。久山町では、2000年代に入り認知症、特にADの有病率が人口の高齢化を超えて上昇している。高齢者の糖代謝異常の増加がその要因である可能性が高い。認知症を予防するうえで、急増している糖代謝異常の予防・管理が大きな課題になったといえよう。

VaD: 脳血管性認知症
AD: アルツハイマー病
Aβ: アミロイドβ蛋白

「糖尿病を含む糖代謝異常は脳血管性認知症のみならずアルツハイマー病発症の有意な危険因子であった」
世界的に最も信頼のおける疫学調査です。

やるべき事は、糖尿病及び糖尿病予備群の殲滅作戦です。
クスリ診療は失敗を重ねております。
大きな希望、確実な成果が得られるのは、糖質制限 です。

分かりきった事実に関わらず、何故号令を掛けないのか。
学会は。

当ブログ、9月8日の記事も参考下さい。

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「スーパー糖質制限」実行中。
本日8時半血糖値:111mg/dl。

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by hanahanak2 | 2016-09-14 17:37 | 糖尿病 | Comments(0)